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正しい医療保険の選び方

●健康保険料ってずいぶん高いけど役に立つの?

自営業者やフリーターの方は国民健康保険、民間のサラリーマンは健康保険、公務員の方は共済組合と、職業によって加入する制度は異なりますが、日本に住むすべての人は何らかの公的医療保険に加入しています。そのため、全国どこの病院でも保険証を提示すれば公定価格で治療を受けることができます。
 平均的な医療費をみてみますと、胃がんで約28日入院すると約121万円、急性心筋梗塞で約19日入院すると約217万円、乳がんで約20日入院すると約81万円の医療費がかかります(全日本病院協会HPよりhttp://www.ajha.or.jp/guide/1.html)。実際に負担する金額は3割ですから、それぞれ約36万円、約65万円、約24万円となります。
 ただし、公的医療保険には高額療養費制度というものがあり、1ヶ月の医療費の自己負担金が一定額を超えた場合、超えた部分の自己負担割合は3割ではなく1%ですみます。一定額というのは、所得区分が「一般」の人は8万100円、「上位所得者」の人は15万円です。たとえば、1ヶ月に100万円の医療費がかかったとしても、「一般」の自己負担は8万7430円、「上位所得者」は15万5000円です。

1ヶ月あたりの自己負担金の計算式

 健康保険組合や共済組合に加入している場合、1ヶ月あたりの自己負担金に2万円から5万円程度の上限を設けていることがあります。つまり、1ヶ月の間に医療費の自己負担が所定金額を超えた場合、後日超えた分が戻ってくるのです。これを付加給付といいます。ご自身が加入している公的医療保険の給付内容を確認してみましょう。

●健康保険で受けられる医療ってたいしたことがない?

よい医療は保険が利かないと思っていませんか? 保険診療であれば高額療養費制度があるので安心ですが、そもそも健康保険で受けられる医療ってたいしたことがないと思っている方が多いようです。しかし、心臓移植も保険の対象になっているくらいで、相当高度な治療が保険で受けられます。
 保険診療と組み合わせて受けられる先進医療は、保険に収載される前の実験段階の医療です。効果が見込め、治療法が広く普及するとなれば保険診療に移行します。先進医療部分の医療費は全額自己負担となります。患者として先進医療を検討するときは、その治療が合理性があるかどうかを自己責任で判断しなくてはなりません。お金だけの問題ではなく、医療に関する質のよい情報を得ることや、医師との良好な信頼関係を築き、納得のいく医療を受けるためのコミュニケーション能力を身に付けることも大切です。
 差額ベッド代を心配する方も多いのですが、差額ベッド代がかかるのは自ら希望した場合のみです。同意書による確認を行っていないとか、治療上の必要からとか、病棟管理の必要から患者の選択によらずに差額ベッド代のかかる部屋に入ったときは支払う必要はありません。

●健康保険以外にも公的な医療保障があります

日本は皆保険制度と合わせて皆年金制度をとっており、20歳から60歳までの日本に住む人はすべて公的年金に加入します。公的年金には老後の年金だけでなく、生活を維持している人が亡くなったときの遺族年金や、所定の障害状態になったときの障害年金の制度があります。障害年金は事故などで身体が不自由になったときのことを思い浮かべがちですが、内臓疾患でも障害認定が受けられる場合があります。
 また、公的医療保険の自己負担分の一部を公費で負担してくれる「自立支援医療制度」や、子どもの難病に対する医療の給付として「小児慢性特定疾患治療研究事業」、原因が不明で治療法が確立していない難病のうち、国や自治体が公費負担の対象として指定する「特定疾患治療研究事業」などがあります。
 このような制度は知らないと申請できません。申請して認められてから保障が開始しますから、申請前に負担した医療費は戻ってきません。公的保障の知識を持つことも保険の一つです。

●医療費抑制と医療技術の進歩で入院日数は短縮

今後の医療制度はできるだけ入院日数を減らし、医療費を抑制する方向に向かうことは間違いなさそうです。また、医療技術は日進月歩ですから、以前なら数週間の入院をしなくてはならなかった病気が、短期の入院もしくは日帰りで高度な治療が受けられるようになっています。高齢になれば入院日数が長くなると言われますが、これからは病院ではなく在宅療養や介護施設への入所へと代わっていくでしょう。
 多くの方が心配するがん治療の場合、手術を受けても入院日数はさほど長くならず、その後の通院治療が長引く傾向にあります。抗がん剤や放射線治療など、1回あたりの治療費負担が結構重く、治療費以外の出費がかさむことも多いようです。
 病院や診療所での入院を基本とする現在の民間医療保険は、「入っていれば安心」と言えるほどのものではありません。たとえ入院したとしても、通院や在宅で治療可能な場合は入院給付金が支払われない可能性もあります。そして、支払われる入院給付金の日数には限度があります。
 限界があるものへの出費はほどほどにし、介護だろうと医療だろうと、どのような状況でも対応可能な貯蓄を増やすことが何よりの保険だと心得ましょう。貯蓄が貯まるまでのつなぎとして、シンプルで割安な保険に加入しておき、いずれ貯蓄が貯まったときには保険から卒業して、さらに貯蓄を増やしていくことが健全な家計運営につながります。また、医療制度の変化とともに時代に即した有効な保険商品が発売されるかもしれません。そのときに新商品を購入できるだけの家計余力と健康を保っておくことも重要です。

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