平成19年4月から変わる年金制度
平成19年4月からの主な変更点は次のとおりである。
平成19年度の年金額
平成18年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)の対前年比変動率はプラス0.3%となった。一方,対前年度比名目手取り賃金変動率(平成15年度から平成17年度の実質賃金変動率等を基に算出)が0.0%となった。
物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り,かつ,対前年度比名目手取り賃金変動率がマイナスとならない場合には,年金額は名目手取り賃金変動率で改定することが法律で定められており,従って平成19年度の年金額については,平成18年度と同額となる。
新しい年金額は平成19年4月分から適用され,受給者には6月(4月及び5月の2か月分)に支給される。
なお,平成16年改正で導入されたマクロ経済スライドによる調整については,物価スライド特例措置による物価下落率の累積分(1.7%)が解消された後に開始されることとされており,平成19年度においては行われない。
※「物価スライド特例年金額」とは……
平成12年度〜14年度の3年間は物価の下落にもかかわらず,受給者の生活に配慮して,年金額の据え置きを行った。この措置により,実際には本来の支給額よりも1.7%かさ上げされた年金額が支給されている。これを「物価スライド特例年金額」という。
国民年金関係
■国民年金保険料
国民年金の保険料は,平成17年4月から毎年度基本額が引き上げとなり,29年度以降は月額1万6,900円で固定される。ただし,この額は平成16年度額で,各年度実際の保険料額は賃金の伸びに応じて保険料改定率が乗じられる。この保険料改定率は,前年度改定率や2年前の物価変動率等によって改定される仕組みになっており,今回は2年前(平成17年)の物価変動率であるマイナス0.3%が反映され,月額の保険料は1万4,100円(=1万4,140円×0.997)となる。
厚生年金関係・その他
■離婚時の夫婦の厚生年金分割開始 【 平成19年4月実施 】
平成19年4月以降に離婚が成立した場合,2年以内に請求すれば婚姻期間中に相当する厚生年金(老齢厚生年金,障害厚生年金)を当事者間の合意で分割できるようになった。この場合,平成19年4月以前の婚姻期間も分割の対象となり,分割の割合は,分割を受ける側の持分が双方の厚生年金を合計した額の50%を超えることはできない。合意できなかった場合,裁判所が分割割合を定めることもできる。なお,婚姻期間の加入記録等を知りたいときは,社会保険事務所に連絡し情報提供の請求ができる。
■65歳以降の老齢厚生年金の繰下げ制度 【 平成19年4月実施 】
平成19年4月以降に離婚が成立した場合,2年以内に請求すれば婚姻期間中に相当する厚生年金(老齢厚生年金,障害厚生年金)を当事者間の合意で分割できるようになった。この場合,平成19年4月以前の婚姻期間も分割の対象となり,分割の割合は,分割を受ける側の持分が双方の厚生年金を合計した額の50%を超えることはできない。合意できなかった場合,裁判所が分割割合を定めることもできる。なお,婚姻期間の加入記録等を知りたいときは,社会保険事務所に連絡し情報提供の請求ができる。
■70歳以上の在職老齢年金制度の導入 【 平成19年4月実施 】
70歳以上で働く年金受給者は,60歳台後半の在職老齢年金の仕組みと同じ方法で年金額の支給停止が行われる。ただし,平成19年4月1日時点ですでに70歳を過ぎている人は対象外となる。なお,70歳以上の人は原則として厚生年金の被保険者とならないため,保険料を負担することはない。
■配偶者の死亡による遺族厚生年金額の算出方法の変更 【 平成19年4月実施 】
平成19年3月31日までに受給権が発生した配偶者の死亡による遺族厚生年金額は「死亡者の老齢厚生年金額の4分の3」の額だったが,平成19年4月1日以降に受給権が発生する配偶者の死亡による遺族厚生年金額は,①遺族厚生年金額と,②遺族厚生年金額の3分の2+自分の老齢厚生年金額の2分の1を比較し,いずれか高い方の額となる。なお,配偶者以外の人の死亡による遺族厚生年金額は,引き続き「死亡者の老齢厚生年金額の4分の3」の額となる。
■遺族厚生年金と老齢厚生年金の併給要件の改正 【 平成19年4月実施 】
65歳以上で自分の老齢厚生年金が受けられる人が配偶者の死亡により遺族厚生年金を受ける場合,本人の被保険者期間を尊重するという観点から,遺族厚生年金額のうち本人の老齢厚生年金額に相当する額は,老齢厚生年金額から受け,遺族厚生年金からは残余の額を受けるという方式に改められた。
■30歳未満の妻の遺族厚生年金を5年有期年金に変更 【 平成19年4月実施 】
子のいない妻が遺族厚生年金を受けられる場合,これまでは終身年金(受給)だったが,遺族厚生年金の受給権取得時に妻が30歳未満の場合は,5年間の有期年金となる。また,妻が30歳到達時に子を有しなくなった場合は,子を有しなくなったときから5年間の有期年金となる。
※「子」とは,18歳到達後の最初の3月31日までの未婚の子,障害のある子は20歳到達までの未婚の子をいう。
■年金受給の辞退 【 平成19年4月実施 】
年金受給権者の希望により,基礎年金,厚生年金の給付とも全額支給停止の申し出ができるようになった。この制度は,単に年金の受取りを辞退したいと希望する人のために作られた制度で,例えば,老齢厚生年金と遺族厚生年金を併給できる人が,老齢厚生年金の受給を辞退して,遺族厚生年金だけで全額を受け取るというような恣意的な選択をするために利用することはできない。
一度受給を停止した年金はいつでも撤回でき,以後の年金の受給を再開することはできるが,受給を辞退していた過去の期間に遡って撤回することはできない。
■中高齢寡婦加算の支給要件の見直し 【 平成19年4月実施 】
夫の死亡時に妻が40歳以上(従来は35歳以上)であれば(子がいないこと),40歳から中高齢寡婦加算が遺族厚生年金に上乗せされる。
※「子」の要件は前記と同じ。
■基礎年金の国庫負担割合の引き上げ
平成21年度までに基礎年金の国庫負担割合2分の1の実現に向けて,平成17年度および平成18年度に引き続き,平成19年度の国庫負担割合が「3分の1」+「1000分の32」へ引き上げられる。
■被用者年金の一元化 【 平成22年度原則実施(一部前倒し実施) 】
現行の国家公務員共済組合,地方公務員共済組合及び私立学校教職員共済の被用者年金制度に共通する給付(1・2階部分)に係る保険料率を,次の①から③により厚生年金保険の保険料率に統一する。
- ①国家公務員共済組合および地方公務員共済組合の保険料率が統一される翌年の平成22年から,1・2階部分の保険料率の統一を開始する。
- ②現行の職域部分(3階部分)を廃止することを踏まえ,平成22年以降は,それまで職域部分(3階部分)に対応する保険料として予定されていた部分の保険料率も含めて1・2階部分の保険料率とし,その率から厚生年金保険と同様に,毎年0.354%ずつ引き上げ,公務員共済については平成30年,私立学校教職員共済については平成39年に厚生年金保険の保険料率(18.3%)に統一する。
- ③加入者および事業主(国・地方公共団体及び学校法人等)にとって急激な保険料負担増とならないよう,各共済年金の1・2階部分の新たな保険料負担の一部は,積立金を活用して負担する。
■ねんきん定期便
社会保険庁では,より身近でわかりやすい年金を目指して,年金加入記録や年金見込額などの情報を届ける「ねんきん定期便」を開始した。まず,平成19年3月から,35歳の誕生日を迎える人に,誕生月の前月に同定期便を送付する(平成19年4月2日以降に35歳の誕生日を迎える人が対象)。同定期便はその人の所在地に直接郵送する。